明け方まで仕事。朝。気持ち良く寝ていると、我が家のドアホンをしつこく鳴らす者がいた。
時計を見ると午前9時45分。警察か!? と愕然とするが最近は特に心当たりもない。でも心臓はバックンバックンいってる。恐る恐る玄関に出ると、作業服を着たメガネの若い男が立っていた。顔ははちきれんばかりににこやか。
「おはようございます!。×治牛乳です!。ハイ!」
首しめてやりたかった……。が、ついつい反射で「ハイ!」と威勢良く手渡された牛乳を受け取ってしまう。
「健康のために牛乳飲んでますか? 成人男性に必要な一日のカルシウムは……」
ウー。流れるようなセールストーク。
「いりませんから……」
「そう言わず、1本でも2本でも1本でも2本でも……」
「いや、ほんとにいりませんから」
「お身体の栄養バランスを考えると、一日一本から二本の牛乳がどうしても……」
「勘弁してくださいよ」
といって、受け取った牛乳を突き返そうとすると、男はバスケの選手みたいに両手をバッと広げ後ずさった。
「いや、こちらはサンプルですので、ぜひお受け取りいただき、よろしければ1本でも2本でも1本でも2本でも……」
「マジでいいですって」
「まあまあ、そんな事言わずに。1本でも2本でもいいんですよ!」
「でも、金払うのはオレでしょう?」
「そうですけどねえ、でもまあ、これを機会に始めてみてはいかがですか?、1本でも2本でも1本でも……」
「本当にいりませんってば」
そう言って、玄関に土足で降りて無理矢理牛乳を手渡すと、その瞬間、男はまるでからくり人形のように笑顔をフッとかき消し、虚ろな目になった。と、牛乳瓶をバッと奪い取るや!
……
男はなにも言わずきびすを返し、挨拶もお別れもなし、玄関も門扉も開けっ放しのまま、小走りで去っていった。残されたのはバカみたいに土足で玄関に立ちつくすわたし。
もう二度と買いません。明治牛乳。死ね。販売店にクレーム入れようかと思ったが、でも、仕返しに放火でもされかねないご時世。イヤなのでやめました。
本当にこんなのばっか。ドアホンの電源を引っこ抜いた。起こしてくれてありがとう。おい明治牛乳! 謝罪はいいからこのキチガイを何とかしろ!

























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