勝新太郎──人間国宝・杵屋勝東治(長唄)の次男。兄は若山富三郎。妻は中村玉緒。三味線弾きから俳優となり、座頭市で大ブレイク。
いまでもたまに座頭市の再放送を見ることがあるが(台湾のチャンネルで)、もごもご何言ってるのかさっぱりわからず、中国語吹き替えはダメだな……とか思ったら実は日本語だった……まじかよ!という思い出もある。
日本の映画産業が傾くとともに、勝新もアヘン所持で逮捕。記者会見で「芸能人は法律なんか知らなくていいんだ」と名台詞を吐く……
その後も色々やっていたらしいが(大麻とか)、黒沢明監督の「影武者」主役を降板してからは「ヤクザのパーティ出席」「息子が真剣で殺陣師を刺し殺す」仕上げにハワイでパンツにコカインを隠していたのを見つかり「もうパンツははかない」と、晩年は散々だった。
そんな勝新の生き様を描いた本が読みたい。と、最初に買ったのは生前の勝新とつかずはなれず、裏方仕事もこなしていた市山隆一氏の「私論・勝新太郎―勝新語録とその背景」。
阿片で捕まったあとも、大きな声では言えないが、楽屋から甘い香りがしたときの舞台は素晴らしく、そうでないときはイマイチだった。「俺にとって、マリファナは神様だ」とうそぶき、ハワイの別荘でジョイントが無くなると機嫌が悪くなるほどの愛好家ぶり。しびれる!
もう少し近づいて、親しい友人というか、先輩後輩的な間柄でもあった山城新伍の「おこりんぼ さびしんぼ―若山富三郎・勝新太郎 無頼控」もまた、知られていなかった勝新の素顔を垣間見せてくれる。
勝プロダクション発足時、記者会見で「資本金は幾らですか?」と質問され、「そんなもんいるのか?」と逆に聞き返した勝新。実は眠剤マニアでもあった勝新。テレビ版座頭市が人気絶頂だったにも関わらず、ごく短い間しか放送されなかった深い事情……。
周りの声をひととおり聞いたところで、勝新本の決定版と呼べるのが「俺・勝新太郎」(本人著)である。
本人しか知らない初恋話(決してほのぼのしてない)などから静かに始まり、なんだか想像よりも地味な本だな……と思ったところでマシンガンさながらな勝新語録の乱れ撃ち。「口が一服吸った。鼻も吸った。でも悪いのは口・鼻・手じゃない。どこか身体の神経が命令して吸っちゃったんだから、神経だけが罪になる」……。
そのへんの親父では絵にならないが、勝新がこれを言うと何となく「なるほど」と頷いてしまうのが不思議だ。

























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