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Subj: ‘朝木市議転落死’に残る多くの疑問

「警察発表には全く説得力がない」

東京・東村山市の朝木明代市議が、東村山駅前にあるロックケープビルから謎の転落死を遂げてから、早くも半年が経過した。

周知のように、この事件は、多くの週刊誌や月刊誌、さらにはテレビが、朝木さんの死をめぐる疑惑、とくに創価学会の関与や、警察捜査のあり方について、さまざまな角度から多くの疑問を投げかけ、広く世間の関心を呼んだ。

また、昨年九月から十二月まで開かれた臨時国会でも、ちょうど宗教法人法の改正が焦点となっていたこともあって、複数の自民党議員が、この事件を取り上げ、マスコミ報道に基づき、朝木さんの死と創価学会の関係を質(ただ)している。

これに対し、創価学会は、「事実無根の中傷」と反発を強めていたが、暮れも押し迫った十二月二十二日、警視庁東村山警察署は、朝木市議の事件について緊急記者会見。朝木さんの転落死には「事件性がない」とする捜査結果を発表した。

これに、創価学会は大喜び。警察発表の翌日には、機関紙『聖教新聞』が、「東村山市議の転落死問題警視庁が『自殺』と最終結論『学会が関与』とデマ宣伝したマスコミ、自民党議員問われる重大な責任問題」との大見出しで、東村山署の
決定を速報―。

「今回、捜査の最終結論が出たことにより、同市議の家族らによる荒唐無稽は作り話を利用し、学会に対する意図的なデマ宣伝に狂奔したマスコミと自民党議員の、倫理と責任問題が厳しく問われることになろう」(H7・12・23付『聖教新聞』)と報じたのをはじめ、『創価新報』などの機関紙、さらには『地浦』『ジャン』などと称する怪文書で、‘怪死事件に創価学会関与の疑惑がある’と指摘したマスコミや政治家を、それこそ、クソミソ、に批判している。

このうち、わざわざ、「号外」まで発行したのが『創価新報』。そこでは、「東京東村山市議の『転落死』に決着警視庁が『自殺』と断定」等の見出しを掲げ、「一連の、デマ騒ぎ、に完全にピリオドが打たれた。騒ぎに便乗したマスコミや自民党議員の、道義的、社会的責任は重大である」なとと、マスコミ、自民党議員を非難している。この『創価新報』号外を、創価学会は、東村山市内で大量に戸別配布した。

この他、創価学会の外郭企業である潮出版社や第三文明社が発行する『湖』や『第三文明』などでも、同様のスタンスで、マスコミや自民党議員を攻撃している。

では、本当に朝木さんの死には事件性がないのだろうか。

東村山署が、朝木さんの転落死に「事件性」がないと判断した主な根拠は、以下の三点。

1。転落現場近くで、争う声を聞いた者や不審な目撃情報がはい。

2。朝木さんの着衣に突き落とされた形跡がない。

3。第一発見者に『大丈夫です』と話し、被害を訴える言葉がなかった。

記者会見の席上、東村山署側は、この他にも、「垂直に落ちているので突き落とされたのではない」とか「ビルの防護壁(手すり)は、〇・九メートルから一・三メートトルの高さであり、身長一・六メートルの朝木さんなら乗り越えられる」
「朝木さんは、裸足で歩いて現場の五階に昇った。根拠はストッキングが破れて
いること」などの理由をあげ、「事件性はない」と判断したと述べている。

だが、これらの諸点は、事件発生直後にすでに分かっていたこと。東村山署は、九月二日の記者会見の席上、「事件性は薄い」「自殺と見られる」と発表したが、その理由として「垂直に落ちている」「手すりに指の跡がある」「争った跡がない」「不審者の目撃情報がない」などと語っていた。

しかし、そうした警察発表に対し、マスコミの間から、「なぜ、靴がないのか」
「指紋はあったのか」「裸足で歩いたにもかかわらず、なぜ、臭路が出ないのか」
さらには、朝木さんの最後の電話の声が、「大韓航空機撃墜事件の機長が、ミサイルを撃ち込まれた時と同じ、極度の緊張状態を示す周波数」であることなど、多くの疑問が提示されたのだった。

「事件性なし」と判断した警察には、こうした疑問に答える、あるいは「殺人説」を否定するだけの新事実や根拠を示す義務と責任がある。にもかかわらず今回の発表では、こうした諸点については何も触れられていはい。その意味では、全く説得力に欠ける発表なのである。

「創価学会の機関誌である『潮』の十一月号(十月五日発売)は、警察が朝木さんの転落死を『自殺と断定した』と明記し、その理由をるる述べているが、その内容は今回の警察発表とほぼ同一。当初から、両者はタッグマッチを組んでいたとしか考えようがない。」(事件を取材している新聞記者)

こうした警察と創価学会の対応に、遺族や関係者は怒りを頭わにする。

「事件発生から三ヶ月余、警察の対応を見守っていましたが、警察は、連れ去られた可能性のある自宅の捜査も行なわないなど、なんら満足な捜査をしなかったばかりか、第一発見者に口裏合わせや口止め工作まで行なっている。それでいて捜査結果として『事件性がない』という。とても納得できるものではありません。」
(朝木さんの長女・直子さん)

また、朝木さんとともに東村山市議会で「草の根市民クラブ」を構成していた矢野穂積市議も、怒りを頭わにこう話す。

「まともな捜査もしないで、自殺と結論づけるとは言語道断。じかも自殺の根拠となっている理由は、事件発生当時、警察が示していた見解となんら変わりがなく、国民世論やマスコミの疑問になに一つ答えていない。はじめに自殺ありきのシナリオであり、まるで、靴にあわせて足を削るがごとき内容だ。」

現在、創価学会は、朝木直子さんが弔い合戦として衆議院東京新二十区から出馬することに、戦々恐々としている。

「東京新二十区の新進党候補は、学会本部職員上がりで、池田大作氏お気に入りの、大野ゆり子新進党女性局長。反学会の闘士朝木明代さんの忘れ形見直子さんの出馬は、無風選挙区の台風の目だけに、創価学会は強い危機感を抱いている。
学会としては、朝木さんの死をめぐる疑惑を、選挙戦の焦点にされてはたまらない。そこで、なんとしても昨年の内にいちおうの決着をつけておきたかった。警察の唐突かつ拙速な幕引きは、そうした学会の意向を受けたもの、としか考えようがない。」(ジャーナリスト乙骨正生氏)

警察発表を受けての創価学会の動きは、そうした見方を裏づけるものだが、オウム真理教による坂本弁護士一家殺人事件の全貌が明らかになるのにも、数年の歳月が必要だった。この朝木市議怪死事件も、真相が明らかになるには、まだ、し
ばらくの時が必要なのかも知れない。

その際、問題なのは、創価学会が期待するところの、事件の、風化、であろう。
今後とも、マスコミをはじめ多くの人々が、同問題に関心を抱き続けることが事件解明のためには必要である。

創価学会による被害者の会機関紙「自由の砦」
第26号、平成8年2月23日









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