現地三面記事の翻訳


少女三人不運な散歩 

 警官が若者の服を掴みながら家から出てきた。この若者三名は警察署に連行され、取り調べのあと留置された。事件の背景には、田舎から出てきたばかりの少女たちの好奇心がある。

 被害者はサーコン、サヴェン、サーアムの三人で、共に17歳(日本の数え方では15歳から16歳)。警察から取り調べを受けた少女たちは、涙ながらに事件の全容を語った。

 ‥‥わたしたちはスバイリェンに住んでいます。二日前、プノンペンの叔母さんの家へ遊びに来ました。夕方、気晴らしのため皆で散歩に出ました。楽しくてあちこち歩き回りながら写真を撮っていて、気がついて時計を見たら夜11時をまわっていました。

 三人とも、自分がいまどこにいるのかわからなくなっていて、怖くて誰にも道を訊ねることができず困っていると、バイクに乗った二人の若者が話しかけてきました。

 話してみると、同じスバイリェン出身ということがわかり、私たちはそれだけですっかり彼らを信用してしまったのです。そして、そのまま彼らのバイクでサーアムの家まで送ってもらうことになりました。このとき、もう夜中の12時をすぎていました。

 しかし連れて行かれた家は全く知らないところにあり、そこにはAK47を持った男がいたのです。私たちは無理矢理部屋に連れていかれ、逃げないように全員服をすべて脱がされたあと、乱暴されました。

 しかしそのとき、私は考えました「撃たれて死ぬなら死んだほうがマシだ」と。そして相手のスキをみつけ、サヴェンとサーアムを助け、バラバラに逃げたのです。するとバイクに乗った彼らが追いかけてきて私の腕を掴みました。

 三人とも捕まり、家まで連れ戻されました。そして彼らはまた襲いかかってきたのですが、私達が大声で助けを呼んでも、来てくれる人はだれもいません。明け方近く、彼は私を家まで送ってくれました‥‥。

 若者たちは、彼女らが家の場所を覚えていないと思い釈放したが、彼女たちの記憶に従って警察が場所をつきとめ、全員逮捕された。彼らには罰金五万リエルと懲役一年の刑が課せられる。

「しかし私は満足できません。彼らを殺したいと思ってます」と被害者の少女は言った。

(チャーミングな女性・4月号)

カラオケ大流行

 売春婦のたまり場になっているカラオケ店が、地域住民の訴えにより営業停止になった。

 捕まった支配人は正式な判決があるまで留置されることになったが、このような新しい商売が、警察の目を盗んでどんどん出てくる。

 カラオケ店からは、売春、麻薬、喧嘩が絶えず、色々な問題が噴出しており、市民からも多くの苦情が提出されている。

 苦情の多くは、騒音がうるさくて眠れない、喧嘩やピストルの音が絶えないことなどで、ほかにも遊びに来る人々のバイクや車の駐車問題、騒音も地域住民を苦しめている。

 現在、プノンペンの大きなカラオケ店は36箇所。そのうち25箇所が無許可営業だが、これらは摘発してもすぐに別の場所で営業を始めてしまうので、イタチごっこが続いている。

 こうしたカラオケ店のシステムは、90年に日本から入ってきた。

 相場は一時間5ドルから10ドル。ビールや酒を出し、どの店にも必ず売春婦がいる。
 最近は大型店もできはじめ、スタイルが良く美人のホステスを置いている店が繁盛している。

 これらの女性は客の隣でチップをもらい、身体を売って生活しており、店から貰う給料は月80ドル程度だが、全体の収入はその数十倍にものぼるという。

 首都警察は酒類販売許可、営業許可の無い店を摘発し、事態の改善に乗り出している。

(チャーミングな女性・5月号)

16万ドルを持ち逃げ

 彼女が逮捕されたとき、すでに16万ドルは消えていた。その女性の名は「ヌイ」。本名クブ・スッコンテリーという。

 カンボジア難民としてフランス国籍を持っており、そのほか仲間とみられる二人の男性も同時に逮捕された。そもそも事件は、彼らが宝くじを売って集めた金を還元せず、そのまま持ち逃げしたことからはじまる。その宝くじ会社の社長は彼女の兄弟だった。

 ヌイは安全で怪しまれない隠れ場所として、ホテルカンボジアーナに宿泊していた。ただ、ある日ニッサンセフィーロに乗って、兄と一緒にタケオの実家に帰る途中、交通警官の検問で運悪く捕まったものである。

 この事件にはヌイとその兄のほか、少なくとも五名から六名の人間が関与しているものと思われている。23日の夜から25日の朝まで、組織犯罪取り締まり委員会が、ヌイを尋問しして事件の全容を掴み、今後の参考とした。

(ラスメイカンボジア・5月28日号)

バカな泥棒

 5月25日夜、163ストリート・831番地の家に泥棒が入ったが、そのまま警官隊に囲まれて逮捕された。警官たちは相手が武器を持っていると推測し容赦なく袋叩きにしたため、逮捕時の泥棒は目が腫れあがり、かなり痛々しい表情だったらしい。

 この泥棒は、スバイリエン出身のサオム・ロムナン(16)。

 田舎からプノンペンへ出稼ぎに来たサオムは、一度は労働者として汗水流して働いたこともあったが、もともとなまけ者だったこともあり、まったく長続きせず、もっと楽で高収入な仕事を探していた。

 サオムは警察の調べに対してこう語った‥‥。

「夜八時すぎ、建設機械を売った金を盗むつもりで中に入った。そしたら中年の女がメシを食べていたので静かに隠れていたのだが、ふと目が合ってしまい、なにもできなくなってしまった‥‥」

 逮捕した警官の話では、武器も持たず、抵抗することもなかったという。

 仕事を探しても見つからず、カネも無くなり食事も満足にできず、知人の金持ち宅に侵入したが、結局わずか一時間でご用になってしまった。

(ラスメイカンボジア・5月28日号)

暴走行為もほどほどに

 二人乗りの小型バイクが、市内中心部カルメット病院の前を通りかかったところ、突然バイクの後ろから普通乗用車がせまり、行く手を遮ると、その場に停まるよう指示した。

 トラブルを恐れたバイクが、そのまま無視して通り過ぎようとすると、突然車の窓から銃口が顔を出し、バイクに向かっていきなり発砲。周囲の通行人などを恐怖に陥れた。

 車の中にいた人間がバイクに向かって二回発砲すると、バイクはそのまま路上に倒れ、乗っていた二人も道の上に投げ出された。

 問題の車はそのまま逃走。バイクに乗っていた人間は発砲されるようなことはしておらず、まったく身に覚えが無いと言っているが、警察ではバイクの無謀運転に怒った運転手が、むやみやたらにピストルを発砲したものと見ている。

(ラスメイカンボジア5月28日号)

酔っぱらい運転で大損

 5月16日、プノンペン郊外に住むタクシー運転手ソックスレン(43)が、仕事の帰りに夜道を走っていると、泥酔した兵隊が運転する中型バイクと接触してしまった。

 バイクに乗っていた兵隊はそのまま空中にはね飛ばされ、頭から大量出血してその場に倒れた。

 ソックスレンはそのまま兵隊を病院に運んだが、全治二カ月と診断。さっそく兵隊の家族と賠償金の額について話し合いが行われた。普通なら泥酔してバイクを運転している方が無条件に悪いのだが、相手は泣く子も黙る憲兵隊の兵隊だった。

 結局、ソックスレンが兵隊に650ドルの賠償金を支払うことで両者が合意。これでも最初の言い値から半額以上値切った値段だという。ちなみに事故の際に破損した彼の車は、もちろん自腹で修理する羽目になった。

 普段は外国人観光客を連れてあちこち観光案内し、かなり羽振りのよかったソックスレンだが、この事故によっていままでの儲けはほとんどチャラになった。夜道の泥酔者にはくれぐれも注意したい。

 ちなみにソックスレンによると、兵隊は深緑色の軍服を着ており、近くの茂みと保護色になって良く見えなかったという。どっちもどっちである。
(ロンパオ独自取材)



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