プノンペンの怪事件



女性市場の独特な雰囲気

 そこでは、噂以上の出来事が我々を待ちかまえていた。夜九時を過ぎた頃から人が集まりはじめ、女性たちは何とも言えない騒音の中で身体をくねらせ、そして彼女たちを目当てに集まった男たちとの商談がまとまると、それぞれ手をつなぎ店を出てゆく。

 いま、プノンペンのディスコはちょっとした女性市場と化している。調査に向かったディスコでは、夜になるとバイクタクシーや車に、それぞれ五〜六人ずつ便乗してきた若い女性たちが、集まってくる。中には男のバイクに送られて到着する女性もいる。

 それぞれ派手に着飾った、いかにもプロという雰囲気の女性たちに混じって、垢抜けしない服装と化粧気のない顔のシロウトっぽい女性も混じっている。だがあと二〜三カ月もすれば、彼女たちも立派な(?)プロフェッショナルになってゆくのだろう。

 ここ数年、カネのために売春する女性が増えている。その他、恋愛を求めている女性もいれば、単なる気晴らしのためという女性もいる。

 目的はそれぞれ異なるのだろうが、ここの相場は一晩20ドル。女性によっては、拘束時間と交渉次第で5ドルになったり10ドルになったり、美人の中には50ドルを越える金額を言ってくる強者もいる。そしてこの近辺には、レストランもカラオケも有り、おまけにホテルも揃っている。

 女性にとって、非常に弱い立場で商談が成立することもある。車に乗り込むと、中に三〜四人の男が隠れていたり、バイタクの後ろに乗って連れて行かれる時、その後ろから二〜三台のバイクが付いてきたり‥‥。どこに連れて行かれるのかも分からないまま、この数カ月で10名以上の女性が行方不明になっている。特に年齢が若く、無知な女性が被害に遭いやすい。

 ここで商売をする女性の一人が語ってくれた。

「私がバイクで連れられていくと、部屋の中に数名の男が隠れていて、襲いかかってきました。私はなにもできず、されるがままになっているしかなかった。連れてきた男は自分一人だけと言っていたのに‥‥」

(チャーミングな女性・8月号)

男の夢?。局部巨大化

 約三キログラムにまで腫れ上がったチンチンの持ち主は、プレイベンに住むスクワンさん(32)。原因不明の病気で、ある日突然チンチンが大きくなってゆき、ついに三キロを越すまでになった。近所の人でこの事件を知らぬ者は一人もいないという。

 本人の話では「わかりません‥‥。考えられる原因といったら、アリに噛まれたことくらいです。それから急にこんなことになってしまいました」とのこと。

 チンチンはゆっくりと体積を増していったのだが、彼にはお金がまったく無いので、病院に行くこともできず、治療しないで放置していたら、ついにここまで巨大化してしまったという。

 スクワンさんの父親は心配のあまり、村に昔から住んでいる医者に診察を頼んだが、医師は現物を見たとたん、

「グズグズしていると、チンチンが破裂して無くなってしまうぞ!」

 と脅かされたという。しかしお金の用意ができないため、今に至るもなにも手を打っていないという。

(アンコールトム・6月号)

未来に不安でメッタ突き

 7月31日の真っ昼間、プノンペンミェンチャイ区で大勢の野次馬たちが見守る中、男は自分の身体をナイフで刺しまくった。人々がなにもできず、大騒ぎしているなか、警察が駆けつけて取り押さえた。

 彼の傷は深く、刺し傷は頭三カ所、身体二カ所の計五カ所にわたり、出血多量で緊急入院を余儀なくされ、近くの病院に運ばれたが処置できず、カルメット病院に急遽移送された。

 彼の知人という人の話では、彼の名はソンバット。35歳でスバイリエン出身だという。

 田舎から出稼ぎにやってきたが、大した仕事も寝る場所も見つからなかった。そして事件の起こる直前「生きているのは難しい。死にたい」と漏らしていたことがわかった。

 いま、彼のように人生に行き詰まりを感じて、いきなり突拍子もない行動に走る人が増えている。

(ラスメイカンボディア・8月1日号)

エイズ少女入院中

 14歳の少女が、たった30ドルで動物のように売り飛ばされた挙げ句、エイズを移されてしまった。

 この少女はプレイベン出身のソコさんで、実の姉に連れられチャム人(イスラム系少数民族)に売られた後、ホテルに連れていかれ、その後プノンペンのツールコックで身体を売っていた。

 少女は自分が連れていかれた場所すらよくわからず、なにをどうすれば良いのか頭が混乱して、わけがわからなかったという。

 チャム人に処女を売った後、ブローカーの中年女性に連れられてツールコックにやってきたが、ツールコックで少女を引き取ることになっていた女主人は、彼女があまりにも幼すぎるため、一度は警戒して引き取りを拒否したという。それでも30ドルという値段で折り合いがつくと、少女はさっそく客をとらされることになった。

 そして客のほとんどは、コンドームをしてくれという願いを聞いてくれなかった。

 じきに身体に変調をきたした少女が、ガマンしきれず病院に行くと、そのまま入院することを命じられてしまった。そして自分がエイズだと言うことを聞かされたという。

 少女はいま、某養護施設で人生の残り少ない日々を過ごしている。病気になってからはじめて、ゆったりとした生活を送っているのではないだろうか‥‥。

(チャーミングな女性・8月号)

不幸の上塗り

 身体障害者の父親が亡くなった。後に残された家族は訴えるところもなく泣きぬれている。

「なぜ?。私たちだけが、なんでこんなに苦しまなければならないの?」

 7月31日午後三時。ツールコックの自宅にて、父親は病気で死んだ。

 父親の名前はターキム(27)。以前は兵士だったが、地雷により足を吹っ飛ばされてしまって以来、自宅で静かに療養していた。僅かな軍人負傷手当があるだけで、生活は当然とても苦しく、医薬品もろくに買えなかったという。

「昨日までは‥‥彼は冗談を言いながら、わずかな野菜を市場で売っていました。それなのに今は‥‥信じられません」

 目に涙をいっぱいためながら、妻は続けた。

「子供たちを学校に行かせてやりたいけど、いまはそのわずかなお金も無いんです」

 記者は同情しつつも、どうすることもできず、複雑な心境でその場を離れた。

(ラスメイカンボディア・8月1日号)

寂しそうなバイク

 コンソムウン(20)とキライ(20)という二人の男が、ツールコックの部屋でケンカになり、ピストルで撃ち合うという事件があった。

 銃声を聞きつけた大家さんが来たときには、二人とも血まみれで床に倒れ、すでに虫の息だったという。その後ツールコックの治安警察が駆け付け、調べたところによると、ケンカのそもそもの原因は女性問題だということがわかった。

 使用された銃はK54型。その後集まった情報によると、男のうち一人はスズキのスポーツカブに乗って現れ、銃声は合計三発聞こえたという。

 彼らが争っているとき、偶然近くを通りかかった人は、

「オレの女になにをした!」

 と大声で怒鳴る声を聞いたという。

 現場には、持ち主を失ったバイクが寂しそうに残されていた。



LONG-PAO編集部へのご連絡は、現在すべて電子メールにてお受けしています。
編集部にメール