警察も唖然
地獄の売春宿
(92.6.10)

 ラノン県で暴力をふるわれながらセックスを強要されていた36人の女性たちが6月10日、犯罪制圧課により救出された。

 警察によると、この内の1人の少女の両親から「娘が売春を強要されている」との訴えを受け、ラノン県にある売春宿の手入れを行った。

 36人の少女たちはほとんどがミャンマー人で、三人は鉄製のハンマーでひどく暴力をふるわれ傷だらけだった他、二人は妊娠していた。さらに別の少女は1カ月前に女の赤ちゃんを出産したばかりだったが、地元病院を退院後三日目から再び売春を強制されていた。

 記者会見の席で、この事件を担当したブンチャ警察官は「彼ら(売春を強制した経営者など)は非常に残酷だ。少女たちを人間というより動物同然の扱いをしていた」と語った。

 救出された36人の内訳はタイ人3人、ミャンマー人33人で、その告白によると全員ロックされた部屋に閉じこめられ、家のまわりはワイヤーや電線で囲まれていた。逃げようと試みるとその都度ハンマーで殴られたという。部屋に踏み込んだ警察も、あまりの惨状に唖然としたとブンチャ警察官は述べた。

 売春宿を経営していたスチャートと妻のヤオは逃げて逮捕を免れたが、娘のアバイティップと弟ソムチャイ、その他二人の従業員が逮捕された。経営者夫婦は自分の子供たちを従業員として雇い、売春宿を運営していた。


続報
ミャンマー人
の末路
(92.6.19)

 同売春宿は昨年摘発された際にも経営者夫婦が逃亡しており、犯罪制圧課強制売春係では現地警察が逃亡を助けた疑いがあるとの不信感を表明した。

 昨年6月19日、同課がラノン県ムアン郡の売春宿「ウィエンサワン」経営者トゥム・ヨートクリエンの逮捕に赴くと、経営者は代理人スチャート・スットソームと妻のヤオとなっており、二人とも逃亡した後だった。同課ではトゥムとスチャートが同一人物である可能性を指摘している。

 同日、年齢15歳以下の少女を含む25人のミャンマー人女性が救出され、このうち二人はトゥムにより妊娠中に殴る蹴るの暴行を受けて流産していた。また検査の結果、90%がエイズに感染していると判明し、ミャンマーに送還されたが、その後の信頼できる情報によると、シアン化化合物(青酸カリ)の注射を打たれ全員が死亡したという。

 ラノン県ではミャンマー人の出入りが特に規制されておらず、出入国管理局でも人数を把握していないことから、ミャンマー人がタイで就労したり、売春宿に監禁されたりする例は相当数にのぼると見られる。前回と今回救出された女性のほとんどが買い物や遊びでミャンマーからタイに来たもので、バイクタクシーで市場まで送るなどとだまされ、ゴム園に連れ込まれて乱暴された後、あるいは直接売春宿に送られ、暴力をふるわれながら売春を強要されていた。

 今回9日に救出された女性のうち3人のタイ人は家に帰され、29人のミャンマー人は公共福祉局、残りの妊娠中や子供のいるミャンマー女性は児童保護センターに収容されたが、同課係官は「当面の寝食の場所を提供し、心身の回復を待つが、ミャンマーに送還すればまた全員死亡という報を受けるのではないか」と懸念している。

 一方、昨年摘発を受けた売春宿が今年も堂々と営業し、しかも経営者夫婦が逃亡した事について同係官は「現地管轄の警察が報酬を受けて背後で絡んでいた疑いがあり、どれだけ時間を要しても真剣に追求する」との方針を示した。

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