下級警察官の悲劇
(93.7.30)
内務省では現在、警察官の地位の向上や生活改善に努力しているという。しかし、それにも拘わらず、ある一部の下級警察官は当局から冷遇され、数十年前と変わらない最悪の条件の下で任務を行っているという。
タイ字紙の記者が真相を追求するため、首都警察の警察長官事務所第一ビルを訪ねた。同ビルの階下は小さなオフィスに区切られ、各室ともエアコンが設置されていた。二階は護身術用の柔道の稽古場になっていた。しかし、三階に足を踏み込んだ記者は我が目を疑った。なぜなら部屋の中はスラムの家と全く変わらない状態だったからだ。仕切りのない長い部屋の左右に軍隊用の鉄製ベッドがびっしりと並べられ、天井には蚊帳のほかに紐が張られ、着替えの衣類がぶら下げてあり、ベッドの周囲には日用品が積まれ、足の置き場もないような状態だった。しかも室内には扇風機が置いてあるが、あらゆるものに遮断され、空気の流通は悪く蒸し風呂のようで室内の照明も薄暗く、まるで難民キャンプのようであった。
ある警察官の説明では、ここは地方の警察学校を卒業した警察官の宿舎で、首都公安警察官として勤務している。ここには現在約二百名が同居しているが、網戸もなく、風も入らないのでものすごい暑さだ。ここで生活して二年以上になるが、上官が視察に来ることはなく、私たちの生活は何一つ改善されていない。刑務所より酷い状況だと言って嘆いた。
なお、このような状況は今に始まったわけではなく、中には昇級することもなく三十年以上もここで生活している地方警官もいるという。また転属できたとしても、特別手当がつく総理府の保安官ぐらいが関の山で、犯罪制圧部や登録部などへ転属するためには相当の縁故が必要とのことだ。