「あんた、あんた可愛いよ。顔あげてこっち」
「オーイ、こっちを向かんか」
「言ってることがわかんないのかよ」
‥‥という怒声を飛ばしている集団は、売春宿に遊びに行った酔っぱらいではない。テレビで放映中のミス・ユニバースの出場者を決める美人コンテスト選考会の記者席の模様なのだ。
華やかなスポットライトとは裏腹に、彼女たちは完全にモノ扱いされている。ゲストで出場した二枚目俳優は女性週刊誌の記者につかまり、小馬鹿にした感じで質問に答えている。こんな修羅場の後ろで大金を出してディナーをしようとする奇特な人もいる。日本では公園で暇そうに寝転がっているとテレビ局の関係者が無料の入場券を持って勧誘される類の代物だ。
あのローカルナイズされた厚化粧で顔の差異が分かるのかといつも疑問に思っていたら、最近では少し個性が出てきたようだ。反対に番組の企画構成は「世界水準」を意識しすぎたせいか、世界大会によくあるプロモーション風ビデオ、歌や踊りというつまらない内容に閉口した。