幼い子供の足に鎖をつけてウス暗い部屋に閉じこめ、気に入らなければ暴力をふるい、食事も満足に与えず栄養失調寸前の状態にさせていた鬼のような老女が逮捕され、子供たちは無事に救助されるという事件があった。
付近の住民から子供たちが部屋に閉じこめられ、虐待されているとの知らせを受けた地元警察では、福祉局の職員を同行して16日の午後2時、都内ディンデン区プラチャーソンコ路スティポン通り328番地の木造家屋を家宅捜索した。問題の家はどこの窓も扉を閉めており、中から子供の泣き声が聞こえた。屋内に踏み込んだところ、暗い部屋の中で薄汚れた洋服を着た三人の女の子と二人の男の子が、お腹をすかして泣いていた。彼らの体にはぶたれたり、つねられた跡が見られ、その中の一人の子は足に鎖をつけられ、やせ細り立ち上がることもできなかった。しかも部屋中に便や尿がたれ流しにしてあり、悪臭で息もできないほどだった。
警察ではチョイちゃん(3)トンちゃん(3)、センチャンちゃん(2)にモラコット君(3)、ノイ君(9カ月)を救助し、家主で子供たちの養育者、ソムシリラット(65)を署に連行した。彼女は調べに「私は夫と離婚後、五人の子供たちを養育してきたが彼らも独立したので、20年前にこの付近に土地を買い借家を建てた。また、毎日私は通りの入口でパートンコ(メリケン粉をねって揚げたもの)を売っている。家にいる子供たちは、親が養育能力を持たないため引き取って面倒を見てきた。しかし私が一日中仕事で家を留守にするため、盗み癖があり悪戯な子供たちに私の大事なものを盗まれたり壊されたりしないように、部屋へ閉じこめ鎖でつないでおいた。子供たちをいじめたりしいない」と弁明した。
しかし近所の人の話では、ソムシリラットは子供たちを外に出して遊ばせるなどのことはせず、年中暗い部屋に閉じこめては体罰を与え、泣き叫ぶ子供の声が絶えなかった。しかも食べ物も満足にあげていなかったようだ。
警察ではソムシリラットを、幼児を監禁し暴行した容疑で逮捕し、子供たちを福祉施設へ送った。この事件は新聞やテレビでも大きく報道され、幼い子供を持つ親たちに衝撃を与えた。
翌日、チュアン首相夫人パクディポンさんは五歳の息子スラボト君と一緒にパタヤイの施設を訪れ、五人の子供たちを見舞い、縫いぐるみの人形やお菓子をプレゼントし、養育費として1万バーツを寄付した。
同じ日、チョイちゃんの母だと名乗るチャリヤさん(26)が子供をひきとりたいと施設を訪れた。彼女によると、9年前にソムシリラットの借家に住んでいたが3年前に夫と離婚したため、娘を彼女に預けて働きに出かけた。7カ月後に娘を引き取りに行ったら、養育費5000バーツを払わなければ渡さないと言われた。そこで必死になって金をため、昨年の暮れに彼女を訪ねたところ、娘が欲しければ1万バーツ払えと言われ、ついに娘を渡してもらえなかったと涙ぐんだ。
次いで、二歳半のセンチャンちゃんの母親スパンさん(25)もテレビで娘のことを知ったといって施設に駆けつけ、やせ細り体中に叩かれた跡があるわが子を抱きしめて泣いた。スパンさんも「ミニバスの運転手の夫の収入ではとても生活できなかったので、顔見知りのソムシリラットに一日あたり50バーツで娘を預け、出稼ぎに行った。その後娘の様子を見に帰ったら、彼女に虐待されていることがわかったので、すぐ連れ戻そうとしたら5000バーツを払えと言われ、娘を渡してもらえなかった」と訴えた。
その後の調べでソムシリラットは以前養育していた少年に盗みを強要し、少年は8000バーツを盗んだ容疑で逮捕され、現在少年院に保護されている。ソムシリラットもこの事件で一ヶ月の禁固刑を受けていたことが分かった。