児童労働者の悲話が尽きないタイであるが、今回は十四歳の少女が不具者になるまでこき使われた後、働けなくなるとゴミのように捨てられるという事件が起きた。
今月17日、スリン県ムアン郡に住むピアンさん(64)が、タイ字紙「ディリーニュース」社スリン支局に「十四歳になる一人娘のケートが騙されてバンコクに連れていかれ、虐待された挙げ句不具者にされた。今では家で寝ているだけで、歩くこともできない」と訴えてきた。
記者がピアンさんの自宅を訪ね、ケートちゃんの様子を見たところでは、身体中に生傷とアザがあり、両足はうっ血のためひどく腫れあがっており見るからに痛々しく、記者に同行した多くの人の眉をひそめさせた。
ケートちゃんによれば、雇い主は早朝から深夜まで休み無しに労働を強要。食事も白米だけという日が多く、時にはそれさえ与えられず、水だけという日もあった。しかしこの水を飲むと何故か眠れなくなったという。
また、常に見張りがいたため外出はできず「六年間太陽や月の光を見たことがなかった」と涙ぐむ。身体の生傷は、監視役のマリという女性から仕事が遅かったり、過労のあまりウトウトすると容赦なく打たれたためという。
一方足の腫れは、一日中座ってばかりでほとんど歩くことがなかったため、慢性的なうっ血及び発育不良によるものと医師は診断している。なお、同じ境遇の女の子が他にも四人いたというが、その工場がバンコクの何処に位置しているのかはまだ特定できていない。
ケートちゃんはこの工場で、八歳から十四歳までずっと我慢していたわけだが、その工場経営者の酷い仕打ちに、取材中の記者も怒りを隠せないでいた。
父親はケートちゃんが二歳の時に死亡し、それ以来母親と二人で極貧の生活を送ってきたところ、六年前、親戚の者がバンコクで工場を経営するウアンを紹介。「ケートちゃんに工場で働いてほしい。給料は年間で五千バーツ支払う」と、母親を説得した。母親は自分の手元からケートちゃんを手放したくなかったが、このままでは二人とも食べていくことができず、また親戚が持ってきた話なので騙されることもないだろうと考え、迷いながらも承諾した。
しかし実際に賃金として払われたのは、最初の年が千五百バーツ、二年目は千バーツ、そして三年目以降は五百バーツと最初の約束はまるで守られず、雇い主が働けなくなったケートちゃんを放り出すまで、生死もわからずじまいだった。
スリン県労働福祉監督局は同件を県知事に報告、現在この悪質な工場経営者および関係者を逮捕すべく調査を進めている。