犯人は殺し屋(93.5.20)

 カオヤイ国立公園で男女の焼死体が発見された事件を捜査していた犯罪制圧局が去る5月20日、犯人を逮捕した。

 犯人はタワッチャイ・アピタナーピラック(通称レック・ラムタコーン)(33)で、バンコク・チャトゥチャク地区のMパレス・アパートで逃亡準備中に逮捕された。

 当局の調べによれば、殺されたのは日本へのタイ人女性斡旋業ヤートルン・カコー(通称ダオ)(37)、その用心棒チャーンナロン・ピンピタヤークン(通称バード)(30)で、斡旋料をめぐるトラブルにより殺害されたものと判明した。

 レックは「殺し屋」の世界では知名度が高く、裏社会の実力者でもあり、タイ国内のみならず海外でも数多くの犯罪に関わっているとみられている。

 1984年、ナコンラチャシマ県での強盗殺人事件の容疑者として起訴されたが300万バーツを使い偽証人を仕立て勝訴。その後宝石商・博徒・貿易商などを経て92年より日本へのタイ女性斡旋業に手を染める。この時大物エージェントであるダオとメオに日本で知り合う。

 レックの役割はタイ女性の調達で、多くは日本へのグループツアーを利用して送り込んでいた。その数は30〜40名にものぼり、さらにその都度金や宝石のアクセサリーを身につけさせ、これを日本で売却していた。その利益は総額1億バーツ近いとみられる。

 これに対しレックの取り分は50万バーツにすぎず、これを不満として繰り返し抗議したがダオは取り合わず「仲間のメオが逮捕され斡旋料も警察に押収されてしまった」と騙した。確認のために来日したレックは、メオが逮捕されていないこと、ダオが賭博場に入りびたっていることを知り、ダオと言い争う。その直後喫茶店にいたレックはダオの雇った「ヤクザ」7〜8名に袋叩きにあい、ダオ殺害を決意する。

 この時レックを襲ったヤクザの中に、以前覚醒剤売買で裏切ったタイ人がいるのを発見。横浜の宿泊先に呼び出し睡眠薬を飲ませホテルの7階から突き落として即死させた。

 タイに戻ったレックは元警察官を含む仲間数名と共謀し、ダオ殺害計画を練る。3月15日、日本へ斡旋する女性を見に来るよう、あるエージェントの名を借りて連絡、ダオをチャトゥチャク地区の自宅へ呼び出した。用心棒のバード及び女性購入資金100バーツと共に現れたダオを取り押さえ、正当な分け前を要求したが聞き入れられなかったため、二人に睡眠薬を飲ませ、ナコンラチャシマ県にある兄の家へ連れていき拘禁。その後睡眠薬でフラフラのバードをカオヤイ国立公園に連れていき、背中を強く踏みつけたうえ射殺し、身元が割れないよう灯油をかけて燃やした。翌日、ダオに銀行預金引き出しのための委任状を書かせてから、バードと同様に殺害した。

 事件後、この委任状により3〜4回にわけて銀行より450万バーツを引き出し、さらにカードで37万バーツ相当の金・宝石を購入・売却した。

 タイ国内各地を逃亡していたレックがバンコクに戻ってくるとの情報をつかんだ犯罪制圧局が、宿泊先のアパートに警官を張り込ませ今回の逮捕に至った。警察では現在逃亡中の共犯者の行方を追うとともに、タイ国内及び海外でのレックの余罪をさらに厳しく追及する方針だ。