自分勝手な
生まれ変わり小僧(93.8.13)

 無敵の強さを見せる少年ボクサーの不思議な言動が、村の住民たちの話題を集めている。

 タイラット紙の報道によると、シーサケット県ウトムポンピライ郡に住む、父ウタイさん(36)、母プラヤットさん(36)の長男オープ君(7)は、大のボクシング好きで今まで村で催された試合で負けたことがない。

 その彼が最近「僕は大人だから子供の試合に勝つのは当たり前さ」とトレーナーの叔父に平然と語った。叔父は当初、なんと生意気なことを言う奴だと思ったが、その後も子供では知り得ない昔の出来事をよく知っており、不思議なことを言うことからオープは前世にボクシングが好きだった人の生まれ変わりに違いないと思うようになった。この話は村中に広まり、オープ君をひと目見ようと近隣県からもヤジ馬がやってくるようになった。

 真相を追求しようと現地を訪れた同紙の記者にオープ君は、僕が昔住んでいた家と妻を紹介しようと、実家から三キロも離れたサムカー村の家へ案内した。その家でオープ君が妻フア・チナワン(60)を呼び出したところ、すぐに出てこなかったため、癇癪を起こして怒鳴り散らした

 フアさんの話では「初め少年が私の夫チャンデーだといって来たときには本当に驚いた。しかし私のことや、夫が愛用していたパカマ(腰布)や衣類をしまっておいた場所を良く知っており、短気で怒りっぽいところなどが夫そっくりなので、夫の生まれ変わりだと信じるようになった」という。

 オープ君の母プラヤットさんはウタイさんと結婚後、なかなか子宝に恵まれなかったため、地元の僧侶から子供が授かるように願掛けをしてもらった。その時僧侶から生まれてくる子供は前世で悲惨な死をとげ成仏できないでいる人の生まれ変わりだと言われていた。

 その後三ヶ月後に妊娠し、オープ君を出産した。息子は話ができるようになってから、僕は昔よく水牛を盗んだことがあったなどと奇妙なことを口走るようになった。恐ろしくなって霊媒師から前世のことを一切忘れるための儀式をしてもらったが、成長するに従い前世の妻フアの話をすることが多くなっていたという。

 なお夫の死後、独身を通していたフアさんの「オープの両親が許してくれるのなら彼を引き取って一緒に暮らしたい」との申し込みに当のオープ君は「僕が成人した時にフアは相当のお婆さんになっているだろうから、現世では一緒にならないつもりだ」とはっきり断っているという。